Climbing Mate Club

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Chronicle

鹿島槍北壁・蝶型岩壁『氷のリボン』

アックスイメージ
メンバー 馬目弘仁 笹森進也(碧稜山岳会所属)
日程 1998年 3月22日〜23日
記録 馬目

3/22

AM9:00頃,鹿島槍の臨時駐車場から伊藤さん達と一緒に歩き始める。甲斐さん達は既に先に行ったようなのでトレースはバッチリかな。のんびりと登るつもりがかなり疲れ果て,天狗の鼻に着いたのはPM3:30頃。北壁にはガスがかかっている。今ひとつすっきりしない。が,まあ〜降雪さえなきゃ明日は大丈夫なんじゃないかな。PM6:30就寝。

3/23

AM2:30起床,夜中に降雪があったのが気になる。早速ベンチレーターから覗いてみると小雪が舞っている。まいったなあ〜!とりあえず用意をして,行くだけは行ってみることにする。2人で1つのザックの中身はヘッドランプの予備バッテリー以外全て登攀具だけ。これでなんかあったら知らない人には無謀とか言われちゃうんだろうね。でも蝶型ルンゼでなんかあったってどうしようもないんだもんな。ビバークは論外です。

AM4:00出発。北壁基部のトラバース開始,出だしでこのまま行くかどうか考えたが続行することにした。明るくなり壁の概観がつかめてくると自然と恐怖感が薄れるものなのね。雪質はまずまず,途中新雪が乗った部分では緊張したが,ロープを出すまでもなく快調に進む。それでもかなり最低コルから回り込んでるなと実感し,気を引き締める。

AM5:45『氷のリボン』の取り付きに到着。なあ〜んだ,意外に大したことないね−。これじゃ−登るしかないぜっ。氷室も安定してそうだし。『楽勝だねっ!』と大口をたたいて,ジャンケンして順番を決める。

AM6:00 1P/笹森リードで登攀開始。右寄りの凹状部を行く。プロテクションを3〜4m間隔でとっていくので途中で焦れてしまった。でかいスノーシャワーや落氷を浴びながらのビレイは嫌なものだ。
このF1はフォローしてみると結構悪い。パンプするなあ〜。氷はやっぱり傾斜より質が問題なのですね。

2P/スクリュー3本のビレイ点でトップ交代。このF2は氷質が安定している。私もスノーシャワーに備えてスクリューをわりとコマメにぶちこむ。落ち口の数mが完全な垂直だが快適に越える。ここから危ないルンゼを横切って本当にギリギリ50mいっぱいでダケカンバにたどり着いた。

3P/さて,『どうやら核心は1Pのようだ。順番では笹森だけど,核心越えたんだからい−じゃね−か。次は俺にやらせろ!』というように私ゴネまして,F3をノープロで素早くいただき。ドウモ本格的ダナー天候はどんどん悪化するのは分かり切ってる。イソゲ,イソゲ。小指くらいのダケカンバ2本でビレイ,笹森がフォローして終了はAM9:00。まっ,予定通りだ。

終了点から続くこのルンゼの規模にはビックリだ。集雪面積はデカイ。雪崩たらイチコロだ。遙か主稜線にはこれまたデカそうな雪庇が見える。こりゃまずい。一番雪庇の小さく,下降のロスも少ない左手のルンゼをノーロープで駆け上がる。笹森はかなり疲れたようだ。ここは一つお兄さんにまかせなさい!ガツガツ,ドカドカとフルパワーでヒザ近いラッセルに邁進する。

AM10:30,やっと主稜線に上がった。やーこれでもう2度と登んなくていいやねー。池ちゃん達のトレースにホッと胸をひと撫でして,ソソクサと下降していくとすぐにみんなに合流することが出来た。

仲間達に,『登ったぜ!』と返事できるのはやっぱり嬉しいものだね。

やったー終わった,終わった!

(使用装備)

  • F1  アイススクリュー5本・スナーグ1本
  • F2  アイススクリュー4本・アイスフック1本