Climbing Mate Club

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Chronicle

涸沢岳西尾根〜滝谷ドーム中央稜

カムイメージ
メンバー L:吉井 久住
日程 1998年5月2日〜5日
記録 久住

5月2日(土)

松本(5:00)=新穂高林道ゲート(7:10)−西尾根取り付き(8:50)−2580m付近テントサイト(13:15)

CMC合宿では,冬の湯沢・丸山パーティーに引き続いての安房トンネル越えによる涸沢岳西尾根取り付きとなったわけだが,本当に楽になりましたネ。ちなみに,通行料は普通車750円,軽なら600円です。

天気のはっきりしない中,方やバイトに疲れたY,もう一方は退職・引っ越しは済ませたものの人生の疲れを癒せてないKが雪のない尾根へ体を引っ張り上げ,パラパラと雨が落ちてきた頃,森林限界を越えたあたりに整地されたところを見つけテン場とする。(蒲田富士まではもう1Pほどあり,湯沢,丸山パーティーの初日のテン場のちょい下かと思われる)。

Y氏作ウオッカのグレープフルーツ・レモン割りは美味!

5月3日(日)  停滞

夜半より雨,風とも強く,しばらく様子を見るものの結局停滞。気温も高く夏山のようなのでつい行ってしまおうかとも思ったものの,ここの尾根の持つ意味を知る者なので無理はやめた。

朝からラジオを聞きつつバーボンを傾けていたが,『このゴールデンウイークにいかにして親を欺き外泊するか』などというくだらぬ企画がラジオで流れており,この日が誕生日のKとしてははなはだ不愉快であった。Yに不満はないのだが,たまには世間一般的な誕生日なるものを過ごしてみたいものだと思わずにはいられなかった。

5月4日(月)

テントサイト発(4:45)−縦走路(6:30)−ドーム中央稜取り付き(9:00)−終了(13:30)−テントサイト(16:30)

3時に起床。当初はこの合宿のメインを4尾根に置いていたが,日程から難しくなったため,ベースを松ナミ岩まで上げず,ここからドームのみをアタックすることとした。

縦走路に出たところで亡き2人に手を合わせる。

ドーム中央稜へはドームより南側の雪のまったくない巻き道を上部3P分降った後,さらに懸垂2P下降して取り付く。

最初のチムニーではトップのYもてこずったが,フォローのKにいたってはさらに倍時間をかける有様で目も当てられない状況であった。それでも日も当たりだしてきた4P目頃にはなんとか調子も出てきて,リードしたKはあぶみを掛けて加重したハーケンが抜けたりしたものの何とか乗り切り,Yにいたっては『本当はケミカルで固めたピンじゃないとイヤなんだよネ』などと軽口を飛ばしながら軽快に登り,終了した。ただし,下部で発した罵声や泣き声は縦走路まで聞こえたことであろう。

滝谷の他の登攀者は,クラック尾根方面から聞こえたコールと,ドームの頭で休憩中に現れたおそらくは3尾根をやったと思われる人のみで静かなものであった。

時間的に余裕がなかったので,小屋で酒を仕入れるのはあきらめ,テン場へと帰る。酒どころかテント脇にあった雪すら雨のせいできれいさっぱりなくなっていたので,途中雪をビニール袋につめての帰還であった。

5月5日(火)

テントサイト発(5:55)−西尾根取り付き(8:10)−林道ゲート(10:30)

今日は下山のみなのでのんびり出立。あまりに急な尾根なので,標高差1200m近くをわずか2時間あまりで降りてしまい,膝が笑い出す前に下へ着いた。ただ,下部3分の1は笹藪のせいでお互い10回ほど転びながらの下山であった。

まとめ

本合宿は今夏のヨーロッパ行きを意識して計画したものだったが,予想通り体力・登攀能力のなさを再確認出来たという点では,決して負け惜しみではなく成果があったと思う。また,今シーズンのように雪のない状況では,フラットソールが欲しいところであったが,あえてプラブーツで登ったのも良い経験ではなかったかと思う。