Climbing Mate Club

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Chronicle

ドロミテ(イタリア)・トリグラフ(スロヴェニア)旅行記

カムイメージ
日程 2000年7月30日〜8月20日
記録 河竹康之
フォトギャラリー ドロミテ トリグラフ1 トリグラフ2

7/30(日)  飛行機

 キャリアーはマレーシア航空。

 名古屋→ローマ(イタリア) フランクフルト(ドイツ)→名古屋 往復で101,000円也。 安いのでこれにした。ただ、マレーシアの首都、クアラルンプール空港での待ち時間が多いのが欠点だが。

 11時半、飛行機が出発。午後4時、クアラルンプール空港に到着。ローマ行きの飛行機が出るまで、待ち時間が7時間あるので、空港内をぶらぶらする。あまりにヒマなので、ご飯を2回食べる。少しお金を使いすぎた。夜11時45分、ローマ行きの飛行機が出発。 

 

◎日本

 
  • たばこ3カートン 4.800円

◎RM(マレーシア・リンギット 1RM≒35円)

 
  • 夕 食   26,0 RM
  • 夜 食   49,0 RM
  • 計     75.0 RM≒2,625円

7/31(月) 晴れ  ローマ観光

 朝5時ころ、ローマ空港に到着。ローマ中心には、電乗に乗って40分ほどで到着。駅でコルチナに行く電車の切符を買う。駅を出て、歩き始める。荷物が30㎏くらいあって、とても重い。牛になった気分で、きれいな街並みを歩く。午前中は、市内の中心部にあるローマ帝国の遺跡を見て、昼頃、ホテルにチェックイン。午後は地下鉄に乗って、バチカン市国のバチカン博物館に行く。夕方ホテルに帰ってきたらクタクタで、昼寝をするつもりが、起きたら夜中の12時!しょうがないのでまた寝る。夕食食えなかった…

◎ITL(イタリア・リラ 20ITL≒1円)

 
  • 空港→ローマ・テルミニ駅切符 16.000ITL
  • テルミニ駅→カラルツオ駅切符 73,500ITL
  • 昼飯(屋台)         15,000ITL
  • 地下鉄             1.500ITL
  • 水(屋台)           5,000ITL
  • バチカン博物館入場料     18,000ITL
  • テレホンカード         5,000ITL
  • ビール(博物館内)       3,500ITL
  • 水(小売店)          1,500ITL
  • 計             139,000ITL≒7,000円

8/1(火) 晴れ  コルチナ移動

 朝9時半の電車が、40分遅れで出発。席は2等車。ヨーロッパの電車は、日本と違って席がコンパートメント(2等車の場合は6席が1部屋)になっていて、イタリア人3人と同じ部屋である。

 14時30分にベネチア・メストレ駅に到着。ここで乗り換えを30分待つ間にカフェで昼食。(ピザ、ビール)15時01分に出発し、17時30分にカラルツオ駅に到着。ここでバスに乗り換え、出発。だんだん周りに、岩壁が見えてきてとてもコーフンしてくる。

 18時40分にコルチナ・ダンペッツオに到着。パートナーの永沢氏が迎えに来てくれていた。久しぶりに日本語をしゃべる。イタリア人ガイドのエンリコに会い、3人でピザ屋に夕食。やっぱり本場のピザはうまい!

  • 地下鉄             1,500ITL
  • 水               1,500ITL
  • 昼食(ビール・ピザ)      6,800ITL
  • カラルツオ駅→コルチナ間バス  4,000ITL
  • 夕食(ピザ・ビール・ワイン) 34,000ITL
  • 計              47,800ITL≒2,400円

8/2(水) 晴れ  チンクエ・トーレ diretta dimai (200m・Ⅵ+)登攀

 時差ボケで、朝4時半に目が覚めてしまう。いつものことだが、自分は時差ボケに慣れるまで、1週間以上もかかってしまうのだ。なにせ、デリケートなもんですから。

 ともあれ、今日は足ならしということで、チンクエ・トーレ(高度差200m)という所を登りに行くことになった。9時にエンリコが迎えに来て、岩場に連れて行ってくれた。始め、下の方でトレーニングし、11時に登攀開始。

 岩登りが久しぶり(10日ぶり)なので、体がうまく動かない。特に上半分は、ずっと垂直以上なので、慣れない体にはつらく、余裕のないクライミングになってしまった。まだまだ修行が足りん!

 13時10分に終了し、まだ日が高いので下でトレーニングして、4時ころ岩場の下の小屋に降りてきて、ビールとサンドイッチを食べる。

 今日の夕食はスパゲッティ・ボロネーゼ。日本で言うミートソース。味は全く変わらなかった。あと、ビール400ml、ワイン1L、グラッパ(ワインの蒸留酒)2杯飲んで、寝る。

 今日はよく飲んだ。

  • サンドイッチ・ビール(山小屋)   11,500ITL
  • スパゲッティ、ビール、ワイン    40,000ITL
  • グラッパ2杯             1,000ITL
  • 計                 52,500ITL≒2,700円

8/3(木) くもり→雨  人工壁トレーニング

 今日は天気が悪いので、エンリコが人工壁に連れてってくれた。コルチナから車で40㎞、オーストリアの国境にあるセストという町に行く。人工壁はスポーツセンターの一角にあり、ここにはプール、パターゴルフ場、体育館があり、バーまである。バーでは酒を飲みながら、岩登りを見れるようになっている。日本と違って、クライミングが認められているんだなあと、うらやましくなった。

 ここで3時ころまで練習する。エンリコは、コルチナのトップクライマーで、さすがにうまい!そして強い!

 ここドロミテに来て、自分のヘボさを痛感させられてばかり。イタリアと日本との、あまりのレベルの違いにガクゼンとする。もちろん自分はさらにレベルが低いが。

 自分はといえば、まだ、本来の調子を取り戻せていない。落ち込むったらもう。

  • 絵はがき70枚     33,700ITL
  • ルート図        16,500ITL
  • 人工壁入場料      13,000ITL
  • 切手(エアメール用)   1,500ITL
  • 買い物 グラッパ1本  15,100ITL
  • つまみ4品       15,000ITL
  • 夕食  ピザ      13,000ITL
  •     ビール・ワイン 14,800ITL
  • ジェラート        2,400ITL ←うまい! トッピングは忘れた
  • 計          125,000ITL≒6,300円

8/4(金) 雨  休養

 雨なので休養する。午前中は絵はがきを書き、午後は街を散策&昼寝。

  • 切手33枚分      49,500ITL
  • コルチナの地図     10,000ITL
  • 絵はがき10枚     10,000ITL
  • 切手41枚分      61,500ITL
  • 昼飯          22,300ITL
  • 夕飯  ピザ      12,000ITL
  •     ビール      6,000ITL
  •     ワイン      4,000ITL
  •     チャージ     1,800ITL
  • 計           17,7100ITL≒9,000円
 

8/5(土) 雨  人工壁トレーニング

 再び人工壁へ。やっと調子が戻ってきた。よっしゃ! 夜はあきもせず、ピザを食べる。ピザは50種類くらいあるので、全然あきがこない。コース料理を食べるよりも安上がりだし。

 そのあと、たまにはレストランでアイスクリームを食うかということで、永沢氏(50歳・男)と2人で、パフェをもそもそと食べる。端から見たら、ブキミな光景だろうなあ。

  • 人工壁入場       13,000ITL
  • ビール3杯(人工壁で)  8,100ITL
  • ビール、カフェラッテ   6,500ITL
  • 夕飯  ピザ      14,000ITL
  •     パフェ      6,000ITL
  •     ワイン      6,000ITL
  •     チャージ     2,000ITL
  • 計           55,600ITL≒2,800円

8/6(月) 雨/くもり  チンネ周辺ハイキング

 相変わらず天気が悪いが、どうしてもチンネを見たいので、ハイキングに行く。コルチナから、バスに乗って30分でミズリナ湖へ。この湖も、とてもきれい。湖を一周したあと、またバスに乗って、オーロンゾ小屋というところに行く。

 小屋でコーヒーを飲んで、チンネを見るために歩き出す。

 それにしてもでかい壁。高度差は500mくらいだが、ずっと垂直以上で、べろんとした1枚岩だ。こういう岩を初めて見た。

 雨が降っているせいか、すごく暗い印象。「登りたい」というより、「怖い」感情が先に立つ。情けないが、しょうがない。ここをあさってに登るのかと思うと、とても気が重くなった。

  • コルチナ〜オーロンゾ小屋バス(往復)  8,000ITL
  • 小屋でコーヒー             3,500ITL
  • 小屋で昼食(ソーセージ、ポテト、ワイン)24,000ITL
  • 夕食   ピザ            12,000ITL
  •      ビール            4,500ITL
  •      チャージ           2,000ITL
  • 計                  54,000ITL≒2,700円

8/7(火) 晴れ/くもり フェラータ

 ヨーロッパでは、ハイキングと登山の中間に、「フェラータ」というものがある。これは岩場に鉄バシゴやワイヤーを張ってあるもので、ヘルメットと安全ベルトがあれば行けるもの。

 今日はクリスタルロという山のフェラータに行く。バス・リフトを乗り継いで、標高3000mのAURONZI小屋(読み方わからん)へ。小屋でコーヒーを飲み、いざ歩き始めるが、雪が舞っていて風が強く、あっという間に手が凍り始める。ので、30分でやめて、下ってくる。下の小屋で昼食とワイン。景色も良く、とても幸せな気分。こういう生活がずっと、続けばなああああああああ。

  • コルチナ〜PASSO TRE CROTI バス    3,500ITL
  • クリスタルロ リフト(往復)     30,000ITL
  • AURONZI 小屋 コーヒー         3,000ITL
  • 昼食    パニーノ          4,500ITL
  •       ワイン(0,5L)     3,500ITL
  • 夕食    ピザ           13,000ITL
  •       ビール大          6,500ITL
  •       ワイン           6,000ITL
  •       チャージ          2,000ITL
  • 計                  72,000ITL≒3600円

8/8(火) 晴れ  チマ・スコットーニ南西壁ラチェデリ・ルート(500m・Ⅷ−)登攀

 今日は、ドロミテ滞在のハイライトである。本当は大チンネ北壁を登る予定だったが、長く続いた雨のため岩が乾かず、南に面しているこの壁に変更した。登る壁はチマ・スコットーニ(高度差500m 15ピッチ)。この壁もずっと垂直以上が続く、ものすごい壁だ。

 7:40に、今回のガイド、フェデリコが迎えに来る。彼は29歳で、自分より8歳年上。彼の車に乗り、リフトの駅へ。そこからロープウェイに乗り、その終点にあるLAGAZUOI小屋でコーヒーを飲み、9:00に歩き始める。約1時間で岩場に到着し、10:05に登攀開始。最初の2ピッチ(ザイルいっぱい伸ばすと1ピッチという)は簡単だが、3ピッチ目は1mほどせりだしたハングで、ここを苦労しながら登る。腕がパンパンに張る。4〜6ピッチ目を順調にこなし、歩けるくらいのテラスに出る。ここでフェデリコは昼食。俺は登攀中はタバコが飯代わりなので、タバコを吸う。うまい。

 ここから壁はさらに難しくなるが、順調にいく。

 途中、壁にぶら下がりながら、タバコを吸おうとしてザックを開けると、何かが落ちていく。フェデリコが叫んだ。下を見ると、何と、タバコが落ちていくではないか!今日、これほどショックなことはなかった!同じくタバコを吸っていたフェデリコが気の毒がって、「これ最後のタバコやけど、吸うか?」と言ってくれたが、予備のタバコがあと3本残っていたので、「ええわ。」と言って、吸う。残り2本。

 そのあとはタバコを吸わず、15時20分、終了した。この壁はとても素晴らしく、また、ルートのライン取りもとても素晴らしく、ずーっと感激しながら登っていた。ホンマに感激もののルートやった。終了点に着いて、握手。で、残った2本のタバコを2人で吸う。

 そのあと、壁の裏側を走って下り、さらにずーっと2時間ほど走って、これで終了。

 途中、山小屋に寄って、ビールで乾杯。2杯飲んだだけでいい気持ちになってしまい、帰りの車の中では2人で歌を歌いながら帰ってきた。とても楽しい一日だった。 

  • ロープウェイ           14,000ITL
  • 小屋でコーヒー           5,000ITL
  • ビール2杯            10,000ITL
  • タバコ               6,000ITL
  • 夕飯   ピザ          10,000ITL
  •      ワイン          3,000ITL
  •      グラッパ2杯      10,000ITL
  •      チャージ         2,000ITL
  • 計                60,000ITL≒3000円
 

8/9(水) 晴れ  休養

 昨日登ったので何をする気力もわかず、今日は休養日である。ので、いろいろ書く。

 ヨーロッパでは、日本のアニメが絶大な人気を誇ってるようで、以下のアニメが見れた。 『銀河鉄道999』 『新ムーミン』 『巨人の星』 『てんとう虫の歌』 『アルプスの少女ハイジ』 『ひみつのアッコちゃん』 『ポケモン』 『ドラゴンボールZ』…他にも、古いサッカー熱血ものや、やはり古いSFものがあった。

 今回泊まったホテルは「ホテル パンダ」というところ。その名の通り、看板にはパンダの絵が描いてある。ホテルのマダムはとてもいい人で、普通のホテルと違ってとても家庭的な雰囲気。朝食も、パン、シリアル、フルーツなどの他に、マダムが焼いたアップルパイとか、ケーキが食べれて最高だった。夜遅く帰ってくると、マダムはお酒を飲んでいて、自分にもお酒を振る舞ってくれたりした。もう一度泊まりに行きたいホテルである。

 夜は、俺のお別れ会ということでエンリコ、フェデリコ、フェデリコの彼女、N氏、自分の5人で宴会をする。自分はコルチナが真剣に気に入ってしまったので、こっちにいい仕事はあるかと聞いたが、あまりないらしく、季節労働者になるか、日本からのツアーガイドか、柔道の先生になるしかないということだった。

 2時間ほど飲んで、別れる。帰りにN氏と2人でアイスクリームを食べて帰る。

  • 切手3枚分           4,500リラ
  • フィルム           12,000リラ
  • バーでビール          7,000リラ
  • 昼食 鳥の丸焼き       11,000リラ
  •    パン             400リラ
  •    ワイン          2,800リラ
  • 夕食             25,500リラ
  • アイスクリーム         2,400リラ
  • 計              65,600リラ≒3300円

8/10(木) 晴れ ミズリナ湖とか

 コルチナ滞在最後の日。前にミズリナ湖に行ったときはくもっていたので、再度挑戦。今回は最高の天気だった。そのあと、湖畔にあるリフトに乗って、見晴らしのいいところに行く。コルチナ周辺はスキー場が佃煮にするくらいあって、冬にも来てみたいと思った。

 夕方からN氏はエンリコと登りに行くので、その見送りをする。

 また独りぼっちになった。夜は1人で食べ、そのあと1人で夕日を眺める。

 ホテルに帰ってマダムと一杯やる。

  • ミズリナ湖バス往復     6,000リラ
  • Col de Vardaリフト往復  26,000リラ
  • 小屋でコーヒー       2,000リラ
  • 昼飯(パスタ・ビール)  23,000リラ
  • 夕飯  ビール2杯     9,200リラ
  •     チャージ      1,800リラ
  •     ピザ       14,000リラ
  • 計            82,000リラ≒4100円
  • ホテル代(10泊)  1330,000リラ→カード 1泊約6800円
 

8/11(金) 晴れ  スロヴェニア移動

 ホテルを出て、バスに乗る前に銀行で日本円をオーストリアの金に両替する。

 8:40、コルチナからバスに乗り、ドビアッコという国境の町に移動する。

 9:30、ドビアッコから鉄道に乗る。イタリアの車掌さんが回ってきたので、イタリア領内の切符を買う。電車がオーストリア領内にはいると、オーストリアの車掌さんが来る。ので、オーストリア領内の切符を買う。オーストリア内で2回乗り換えをし、13時ころ、スロヴェニアの領内に入り、13時半ころ、スロヴェニアのJESENICE(イエセニチェ)という駅に着く。念願のスロヴェニア!

 さっそく郵便局に行き、スロヴェニアのお金を両替する。この国では、ドイツマルクが一番両替しやすい。そのあととりあえず、バーに行ってビールを一本飲む。

 そのあとバス停を探すが標識がなく、うろうろしてると、町の人が教えてくれる。

 2時ころ、バスが来たので乗って、MOJISTRANA(モイストラーナ)という村に行く。

 ここからVRATA(ウラータ)という山小屋のあるところに行かなければならないのだが、バスがないといわれる。どれくらいの距離があるか聞いたら、12㎞もあるという!

 がっくりきて、とりあえず村のバーでビールを飲み、水分補給をしてから歩き出す。

 ここはとても暑い。そして荷物をザック2つの30㎏も持ってるので、汗が滝のように流れ出す。車が何台も通っていくが、手をあげても止まってくれない。初めのうちは、まあいつかは止まってくれるやろと思っていたが、全然止まってくれない。1時間も歩くと、暑さと疲れで腹が立ってきて、車が通るたびに「××、××〜!」とか、「××!××!」とか叫びながら歩く。

 2時間、8㎞歩いたところで、ようやく1台の車が止まってくれる。家族連れの車だった。ありがたい!山小屋まで乗せてもらって、厚くお礼を申し上げて、別れる。

 山小屋にチェックインする。山小屋では英語が通じないやろなーと思っていたが、通じたので、助かる。部屋に入る。今回は8人部屋。食事なしで1泊700円也。さっそくシャワーを浴び、そのあと、夕食を食べに行く。メニューを見るが、スロヴェニア語で書いてあるので、さっぱり分からない。近くにうまそうなのを食べてる人がいたので、指さして「これこれ!」とお願いする。山小屋の人は、みんなとても親切にしてくれる。

 スロヴェニアって、とてもいいところだなあと、思った。

◎リラ(イタリア)

 
  • コルチナ〜ドビアッコ バス   6,000リラ
  • ドビアッコ〜San Candido 鉄道  2,500リラ
  • 計               8,500リラ≒430円

◎シリング(オーストリア)

 
  • San Candido 〜Rosenbach 鉄道  280シリング≒?
  

◎トラール(スロヴェニア) 1トラール≒0,5円

 
  • ビール             250トラール
  • モイストラーナ バス      280トラール
  • テレカ・絵はがき        850トラール
  • ビール             260トラール
  • 電話(フランツへ)        60トラール
  • 山小屋宿泊          1454トラール
  • 夕食              950トラール
  • 計              3904トラール≒1800円

8/12(土) 晴れ  トリグラフ ハイキング

 朝、起きたら疲れがとれていたので、トリグラフ(2850mくらい)に登ることにする。朝飯を食べて、8時半ころ出発する。小屋から山頂までのコースタイムは6〜7時間なので、小屋の人には、「今日中に帰られへんのんちゃうん?」と言われたので、少しムキになって歩く。ところがいきなり道を間違え、10時ころにようやく登山道に合流する。すでに30分以上時間をロスしてしまった。標高1800mくらいから、岩を登っていく。とても暑く、汗が滝のように流れる。ハイキング道と言っても、日本のどの登山道よりも難しい。技術的にだけ見れば、マッターホルンよりも難しいと思う。そういう登山道を、小さな子供からお腹の出たおじいさん、おばあさんまで、たくさんの人がほいほいと登ってるのを見て、ガクゼンとする。

 ともかく、12時40分ころ、山頂に到着。この日、アホなことに水を0.5Lしか持っていかず、のどがカラカラ。山頂には下からジュースを持って上がってきた人がいて、さっそくそれを買って飲む。

 1時ころ、山頂を出発。下りはかなり怖く、緊張しながら降りてくる。小屋に着いたのは4時半。シャワーを浴びて、夕食を食べて、早めに寝る。

  • 朝食  サンドイッチ   350トラール
  •   コーヒー       170トラール
  • 山頂のジュース      700トラール
  • 夕食  JOTA     650トラール
  • ビール(びん)      300トラール
  • 山小屋宿泊       1450トラール
  • 絵はがき×3       300トラール
  • 切手3枚分        240トラール
  • 計           4400トラール≒2200円

8/13(日) くもり→晴れ  トリグラフ北壁・ZAHODNA ZAJEDA(700m・Ⅴ)登攀

 今日はトリグラフ北壁に登る。パートナーはフランツ(41歳)。日本に住んでるスロヴェニア人に紹介された人だ。今日が初対面。彼と6時半に山小屋で待ち合わせ、歩き始める。

今日、登るところは高度差が700m。

 岩場の取り付きを出たのが8時半。 400m登り終えたのが11時45分。ここまで、標準時間が5〜7時間なので、かなり早い。

 ここでロープをはずし、残りの300mは、ロープなしで登る。ロープなしといってもかなり難しく、岩もボロボロで、少しヒヤッとする場面もあった。

12時50分に登山道に出て、終了。すでに慣れた道なので、走って小屋まで下る。小屋に着いたのが3時。

 フランツとは、登り始めるまでは、赤の他人だったのが、登り終えると友達になれた。やっぱ、クライマー同士っていいなあと思った。

 

 帰りに、フランツといろいろ話をした。特に印象的だったのは、独立の時のこと。

 スロヴェニアは、今から9年前にユーゴスラビアという国から独立した。

 独立を宣言した日、国中でお祝いをしていた。首都のリュブリャナでも、町中でお祝いをしていたのだが、そのさなかに独立を認めないユーゴスラビア軍のパラシュート部隊が降りてきて、武器を持たない市民を銃撃し、市内は大混乱になった。

 その後10日間の戦争で、スロヴェニア軍はユーゴスラビア軍を撃退したのだが、この10日間の戦争のことを話しているフランツは、とても誇らしげだった。

 フランツが、家に昼飯を食いに来ないかと言ったので、行くことにする。フランツの家は、小屋から車で40分くらい。ブレッド湖という、スロヴェニア最大の観光地の近くにある。 周りは小麦畑が広がっていて、色の統一された家が並び、まさに「理想の田舎」という感じ。家のベランダで、ビールとサンドイッチ、果物などをいただく。

 そのあと、フランツの娘さんが帰ってきて、さらに隣の家の夫婦も来て、にぎやかな昼食になった。

 5時ころ、フランツの車に乗せてもらい、ブレッド湖畔にある、ホテルアストリアに連れて行ってもらう。部屋に入ったあと、疲れがどっと出て、夕食もとらずにぐっすり眠った。

  • 朝食  サンドイッチ  350トラール
  •     コーヒー    170トラール
  • 計           520トラール≒260円

8/14(月) はれ  ブレッド湖滞在

 8時半ころから、疲れた体を引きずって、湖を歩いて回る。

 まさに「絵のような」風景。湖畔で昼食を食べ、いったんホテルに戻って昼寝をする。

 湖のそばに高さ100mの崖(がけ)があって、その上に古城(ブレッド城)が建っているのだが、夕方からそこに行く。古城の中にはレストランがあって、そこで夕食をとる。

 メニューはブレッド湖でとれるマスのグリルとビール。ムチャクチャうまく、いたく感動する。ブレッド湖の景色を眺めながらの夕食は最高だった。食べたあとも、暮れゆく景色をずーっと眺めていた。

  • 絵           4000トラール
  • ビール(ジョッキ)    300トラール
  • 昼食          1140トラール
  • ブレッド城入場料     600トラール
  • 夕食 マスのグリル   1500トラール
  • ビール2杯        700トラール
  • 絵はがき×5       350トラール
  • 計           8590トラール≒4300円

8/15(火) 晴れ  移動

 あまり寝られへんかった。いよいよヨーロッパ最後の日。今日は、ドイツのフランクフルト空港まで移動しなければならない。ここブレッド湖からは1000㎞くらい離れている。

 なので、あらかじめ時刻表で綿密に計画を立てておいた。その計画では、

ブレッド湖(発12:30)ーイエセニチェ(着:13:00 発14:40)ーVILLAGH(着15:10 発18:11)ーミュンヘン(着22:34 発22:49)ーフランクフルト国際空港(着04:00)

として、VILLAGHの駅で、ミュンヘン発の夜行列車の寝台をゆっくり予約し、昼食をとるつもりだった。

 そのつもりで12時過ぎにブレッド湖のバス停に着き、バスを待つ。ところが予定の12時半を過ぎてもバスが来ない。バス停の時刻表には何やら書いてあるが、スロヴェニア語なので、俺には全然理解できない。1時半を過ぎても、相変わらずバスは来ない。そこでハッと気がついた。「今日はスロヴェニアの休日だ!」と。つまりバスは、休日の運休が多いんですね。

 イヤな予感がして、鉄道の時刻表を見直す。すると脚注に、VILLAGH行きの電車は、休日運休と書いてあるではないか!おいおいこれでは電車の予約をする時間があれへんでー、と非常にあせる。

 2時半、まだバスは来ない。待ちかねて、フランツに電話で助けを求める。彼は快く引き受けてくれ、車で迎えに来てくれて、イエセニチェの駅まで送ってくれた。何ていい人!とムチャクチャ感動する。おまけに彼の奥さんが作ってくれたケーキを、せんべつにくれる。

 フランツと、駅のバーで飲んで、お別れする。

 VILLAGHに行く電車は5時半まで来ない。とりあえず、ミュンヘンまでの普通切符を買って、バーで時間をつぶす。5時半、電車が来て、5時55分、VILLAGH(オーストリア)に着く。次の電車が出るまで15分。すでにその電車は止まっていたので、まず荷物を載せて、席を確保して、寝台の予約を取るため切符売り場に走っていく。窓口には5人ほど並んでいて、いらいらしながら待つ。ようやく自分の番になって、ここの予約をしたい!と言ったがあまり通じなかったようで、「インフォメーションに行け!」と言われる。インフォメーションで、ここの切符がほしいと言ったら、「その電車に乗るためには、ミュンヘン行きの電車があと5分で出ますよ。」と言われる。「そんなんわかっとるわい!だから急いどるんやないけ!」と言うが通じず。そうしてる間に発車時間まであと2分になったので、結局買えずじまいで電車に走って乗る。買おうと思っていた水も買えず、のどがカラカラで、とてもみじめな気分で電車に乗っていた。

 9時ころ、ザルツブルグ(オーストリア)の駅に着く。時刻表を見たら、停車時間が20分あるので、また走って切符売り場に行く。やっぱり人が並んでいて、順番を待って、ミュンヘン〜フランクフルトの切符をくれと言ったら、横のドイツの切符売り場に行けと言う。

 またかよーと思って、再び並び直して、順番を待つ。時間が迫ってきてあせる。ようやく順番が来て切符を買い、あわてて電車まで走っていく。電車が発車し、切符を見ると、寝台の予約がされてないことに気づき、ボーゼンとする。

 10時34分。ミュンヘン駅に着く。走って次の電車のホームに向かう。すると、電車の前に車掌さんが立っていたので、「クシェット(簡易寝台)の切符はあるか?」と聞くと、「ある」と答えてくれる。やったー!これで寝れるとホッとする。席が取れたので、ようやく夕食のサンドイッチと水を買う。これで安心。

 10時49分。電車が出た。眠くてしょうがなかったので、毛布をしいて寝る。普通の2等車だったら、横になって寝られへんもんなー。

 とにかく、大変な一日やった。やっぱり時刻表の脚注は、よく見ておくべき。と思った。

◎トラール(スロヴェニア)

 
  • ホテル代(2泊)         15308トラール≒7500円(カード)
  • イエセニチェ〜
        ミュンヘン切符(2等車) 10130トラール
  • 昼食 サンドイッチ          400トラール
  •    ビール             150トラール
  • 計                10680トラール≒5400円

◎マルク(ドイツ 1マルク≒50円)

 
  • ミュンヘン
      〜フランクフルト切符(2等車) 116マルク≒5800円(カード)
  • クシェット料金            40マルク
  • 水                   4マルク
  • サンドイッチ             10マルク
  • 計                  54マルク≒2700円

8/16(水) 

 朝4時にフランクフルト空港駅に着く。昨日もあまり寝られへんかった。

 飛行機が出るのは12時半なので、ヒマをもてあます。朝、空港ではマクドナルドしか開いてないので、しょうがなくそこに入る。

 朝飯を食べていると、突然、××××きたので、あわてて××に駆け込む。ほっとしたのはいいが、ふと見ると、何と××が××××ではないか!×に弱い俺としては、思わず倒れそうになる。2日間、全くの寝不足でしかも、昨日は怒ってばっかりだったしなー。それとも飲み過ぎか。まだ21歳なのに、これが日常になったら困るなーと思いつつ、戻る。

 9時ころチェックインし、飛行機が出る。これで当分ヨーロッパともお別れ。

◎マルク

 
  • アイスクリーム           3   マルク
  • 朝食 エッグソーセージマフィン   4,95マルク
  •    ビッグブレークファースト   6,95マルク
  • ワイン(空港内のバーで)     11   マルク
  • 計                26   マルク≒1300円