唐沢岳幕岩・山嶺ルート

メンバー | 乃村・馬目 |
日程 | 1998年2月7日〜9日 |
記録 | 馬目 |
冬の山嶺ルートのトライは,5年前になります。瀧山さんと登り始めて,夜間登攀に突入し,あまりのスラブ帯の悪さにビビリまくり,結局は振り子トラバースでエスケープしてしまいました。あれ以来,なんとしてもリターンマッチしなければならないルートでした。
2/7
AM8:00 スタート。ダムからの本格的なアプローチは,トレースに助けられ2時間程で大町の宿に到着。この時期に幕岩に入る物好きなクライマーはYCCの松平さん達だった。デポ品の上に置かれた計画書には松本ルート予定とあった。
PM12:30 山嶺ルート登攀開始。
1P/草付の部分の脱落,崩壊が進んでいて悪い。ラインも屈曲していて流れも良くない。もう,これっきりにしたいものだ。
2P/乃村さんは慎重にランナーを取って登ってゆく。残置ピンは相当に古い。45mいっぱいロープを伸ばす。本日はこれまでとしてFixを残して大町の宿に戻る。
2/8
AM7:00ユマーリング開始。細いロープでのユマーリングはやっぱり怖いものだ。冬期登攀ではどうしてもビレイ点が甘くなりがちだ。気を付けなくっちゃね。
3P/前回のトライで敗退のセクションだ。やはり燃えてくる。雪でうっすらと覆われているものの,ベルグラは発達していない。ネイリングしているとペツルのボルト発見。やりい!大胆にフリー,そして草付きに刺したスペクター2連発からボルトラダーに入る。そこからまたフリーで本来のビレイ点を越して,大丈夫そうな灌木でビレイ。それにしてもスペクターは必需個人装備だ。冬期岩壁登攀に挑むに当たっては高度なダブルアックスが必要だもん,やっぱりアックス類も攻撃的じゃなきゃね。
4P/小ハングを越え,第2スラブに入ったところが悪そう。乃村さんはフックを使用。ルートを右寄りに取り灌木でビレイ。あのままスラブ帯をまともに直上するのは死にに行くようなものだ。
5P/強引なダブルアックスで凹角を越え,山嶺第2ルートの雪壁に合流して灌木の間を上がる。腰ぐらいに雪が深く何となく怖い。
6P/45m程で中央バンドに到着。下地が笹のせいか腰までもぐるのにはまいった。この時点でPM1:00,天候悪化著しくガンガンと雪が降ってる。通い慣れた幕岩ではプレッシャーはあまり感じないけど帰りのアプローチが心配になってくるよ。行動食をもしゃもしゃと食ってから出発。
7P/上部壁の1P目,取り付きを間違えて脆そうなチムニー(大町ルートの1P目)を登ってしまう。難しいフリーだった。太い立木からロワーダウンして正規のビレイ点に移る。風が強くなり結構な吹雪だ。寒いぜ。
8P/続けてリードする。所々ネイリング,フックと駆使するがなかなか面倒なピッチだ。抜け口のフリーは悪い。本日はここまでにして,2P,Fixして中央バンドに下降。PM4:30着。
さてこの晩のビバークは結構不快でした。強風と壁からのスノーシャワーでツエルトが激しくあおられてしまいました。 教訓:『幕岩の中央バンドのビバークではテント使用のこと』
2/9
AM6:00 あまりの降雪に敗退も検討したが,ここまで来て帰るのはあまりにも不甲斐ない。俺yタチャ行くぜ!乃村さんも行くときには行く人なのでとても頼もしい。ヤバイ2人組かもね。とにかくユマーリング開始。
9P/乃村さんがリード,スタンスの乏しいディエードルが悪そうだ。何回かフックを試しているが結局ネイリングして越える。上部壁の中間バンドに生えるヒノキの大木でビレイ。
10P/木登りして乗り移り,かぶった壁をひたすら人工でトラバース。途中,リングボルトのリングが加重した途端切れて危なかった。乃村さんはディージーチェーンで接続していたので問題はなかったが,ここの残置ハーケン類は相当にキレている。〜って言うか,本来は残置などすべきではないのだよ。
11P/私の番です。アックスをフックのように引っかけるフリー。途中氷柱が垂れててあまり楽しいところとはいえないPだね。強引にハングした灌木をひっつかんで広島ルートの最終Pに合流。乃村さんはフォローの際に腕の付け根を痛めてしまい苦しそうだ。屈曲したルートのユマーリングって危険だよな。ましてザック背負ってると素早く身動きできないしね。ランナーもまずったな。
12P/最終P,乃村さんのかわりにリード。出だしがかぶっているのでフォローはつらいだろうなあ〜。雪が止み,青空が覗きはじめるいい感じで終了。 時刻はPM4:00,以外に手こずったけど登ったぜ!うれしいなあ。
さて,ここからダムまでの帰りのアプローチは所々腰までのラッセルでまいりました。あの落とし穴にはマイッタよ。PM8:30定刻オーバーでした。