Climbing Mate Club

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海外登山の勧め

山岳会 クライミング・メイト・クラブ 永沢 栄

小リスのカンテ
西チンネ 小リスのカンテ

 時々、スポーツクライミングの岩場や、アイスクライミングで出会う長野県山岳協会の方たちに、「海外登山て良いよ」と話をすると、「いっしょに行く人がいなくて。」なんて返事が返ってきます。「一緒に行く人なんていくらでも居そうな気がするけどな。 いっしょに行く人がいなくたって、行けるのにな! まだ大遠征でなきゃ行けないなんて思っているのかしら?」と思ってしまいます。
 もっと気軽に行きませんか? それが、私がこの文章を書いたきっかけです。

1.ドロミテアルプス(イタリア)の紹介

 私は、現在までにドロミテに8回出かけて、岩登り(7回)とスキー(1回)を楽しんでまいりました。 この内、友人と行ったのは3回だけ。つまり5回は一人で行ったことになります。一人でふらりと行けるドロミテをまずは紹介いたしましょう。

ソラピスレイク
ソラピスレイク

 日本におけるドロミテに関する情報は、シャモニーなどと比べ極めて乏しく、且つ断片的でしか有りません。周りのクラーマーに聞いてもあまりよく知らないようです。私自身も、つい最近まで(何回か訪れているにもかかわらず)ほとんど何も知らないこと気づきませんでした。
 日本で、知られている事といったら、トレチメ(ドライ・チンネ)やチベッタの北壁、マルモラーダの南壁、バヨレットの岩峰の、しかも極限られたルートだけではないでしょうか。
 ドロミテの大きな広がりや、山といえば岩壁しかないこと、傾斜は殆どが垂直以上でシャモニー周辺の傾斜とは比べ物にならないこと(シャモニーにも3回行っております)、そしてその裾野に広がるスイスより美しいエーデルワイスが咲き乱れる草原のこと、岩登りの発祥の地と言って良いことなどは、あまり知られておりません。まずは私の作った概念図を見てください。大きさを具体的に知っていただくために、長野県の枠組みを入れてあります。多くの長野県のクライマーやハイカーにとって役に立つのではないでしょうか。

ドロミテ概念図

 ドロミテと言えばチンネと思う人もいますが、チンネは小さな山の一つにしか過ぎず、ドロミテ最長のルート(38ピッチ、1600m)は、日本人は誰も知らないかもしれないアングナーに有ります。また、それこそ無数に、良いハイキングコースやフェラータといわれる山登りのコースも有ります。
 人口6000人しかいないコルチナの町からは、あのゾルダーやラチェディリ、ロレンツィー、ディボナ、ディーマイなど、そうそうたるメンバーが出ており、フィルネスはメスナーの生地でもあります。
 数年前、ドロミテには30,000もの岩登りのルートが存在すると知って、すごいショックを受けました。チンネのトポには、106のルートが、マルモラーダのトポには、84のルートが、チベッタのトポには、実に994のルートが記載されております。
 良さそうな所だけでも登ってやれと思っていたのですが、とても一人の一生では登りきれません。また、近年ではルートのほとんどがフリー化され、スポーツクライミングのルートも沢山作られており、セストには素晴らしい人口壁もあり、雨の日の練習にも事欠きません。
 岩登りのルートが30,000ですから、ハイキングコースは、300,000位は有るでしょう 。

次回は、海外登山に行くノウハウについてお話する予定です。

推奨するルート