Climbing Mate Club

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Chronicle

滝谷第三尾根

アックスイメージ
メンバー 山谷・小原
日程 2002年4月20日〜21日
記録 山谷

滝谷ワンデイの報告です。ワンデイといっても出合からですが・・・

1:00 起床 2:10 出発 4:00 合流点 6:00 第三尾根取り付き 11:00 登はん終了 14:00 涸沢岳西尾根下降開始 19:30 新穂高温泉

 滝谷出合を2時過ぎに出発。昨日偵察した雄滝は右側の雪渓の切れ目をダブルアックスで通過。上から細かい落氷や落石がパラパラと落ちてきて緊張する。4月といえどもルンゼ内をたどるのはすごいプレッシャーを感じる。F沢とA沢を通過後、合流点につき、C沢に入る。ここから傾斜は強くなってくる。

 第三尾根の取り付きはすぐ分かった。ここはノーロープのダブルアックスで尾根まで出る。尾根上にビレイ点があるかと思ったが、なかった。カムでビレイ点を作り、山谷リードでクライミング開始。このころから雪が降り出す。夕方頃から降ると聞いていたが・・・よって、天候が良く、時間的にも余裕があれば登ろうと思っていたドーム中央稜は割愛することにする。2ピッチ目は小原君で、核心部であるピナクルは、アブミトラバースとなる。ピンは腐るほどあった(一部は本当に腐っていた)。

 これ以降はII〜IIIの岩登りがだらだらつづくのみ。残置は(一部を除いて)そこそこあり、ルートは判然としないが、簡単なところを行けば良いという感じ。つるべで稜線までずっと登る。

 稜線に出て、白ペンキを見てほっとした。小原君は元気そうだが、僕は結構疲れた。アプローチで小原君についていくのに気張ったのと、精神的なプレッシャーのためだろうか。クライミング中に降り出した雪はずっと降り続け、今では10cmを越える積雪となる。稜線は目も開けられないほどの吹雪だ。気温はさほど低くないが、それを除けば厳冬期という感じだ。ここから涸沢岳までは一般道のはずだったが、吹雪と疲れのため苦労する。白ペンキが見えて一般道を忠実にたどれれば問題ないのだろうが、僕は初めてのルートでもあり、道を間違いダブルアックスでミックスの雪壁をトラバースして極まりそうになったりした。涸沢岳近くになると、鎖やハシゴが続き、吹雪の中ミックスになった岩場を登るのは、第三尾根よりよほど緊張し、しばしば恐怖を感じた。自分の体力不足、技術不足を痛感する。精神的弱さも。

 その後、涸沢岳西尾根を下降していくと、やがて蒲田富士のナイフリッジがうっすらと見えてくる。ナイフリッジ周辺はものすごい風で耐風姿勢をとるほどである。これじゃあ危なくて通過できない。チョット降りて白出沢側の雪壁をトラバースしようか。しかし、その雪壁も悪そうに見える。いくならビレイが必要だろう。そのうち白出沢を下ろうかなんて話しも出始める。結局セッピの発達していない斜面側(風下側)をダブルアックスでトラバースした。とばされないようにめちゃくちゃ緊張して、やたら力をつかった。

 これでようやく、本当の危険地帯は脱したのだが、あとはやたらめったら長い下降が待っていた。さらに、蒲田富士から下は、雪が雨に変わった。プラブーツはもちろん、パンツまで濡れた。緊張のアプローチからクライミング、稜線歩き、それからリッジのトラバースと我々にとっての困難が目白押しで、フィナーレは雨。やはり、この尾根は呪われているのだろうか・・・