Climbing Mate Club

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Chronicle

ネパール山行&植林NGO報告とアドバイス

アックスイメージ
日程 2000年9月27日〜2001年1月10日
記録 友藤

 今回初めてのネパールでしたが長期滞在したお陰であらゆる視点からこの国を見た事は最大の成果でした。思えばCMCに1995年入会した当時、自身が高所に行く事は想像できませんでした。CMCのお陰でヨーロッパアルプスも体験できました。その頃何時かは高所6000メートルクラスに登りたいと思っていたので今回結果的にロブチェイーストの頂上は踏めませんでしたがトライ出来た事は満足しています。改めて高所の難しさと同時に先輩方の偉大さを痛感しました。
 それと私の今の実力もどれくらいか改めて解りました。マダマダですが入会してようやく半人前に為れた感じがします。
 今、ネパール王国は揺れ動いています。見た目では解りませんが緊迫した政治経済状況が続いており今後どう展開して行くか解りません。でも神々の山ヒマラヤと美しい自然、日本人が忘れかけている心の豊さがまだ残っているネパール王国にクライミング、トレッキング、植林NGOと今後1人でも多くのCMC会員に訪れてほしいと私は希望します。長々と私見を述べましたが以下最近の登山事情含めて細かく述べます。過去に元会員原田氏が攀友136号、久住氏が145号に詳しく書いています。今更、解っている事も多いかと思いますが参考までに読んで下さい。

ネパール王国とは

 国名通り立憲君主制で政権が共産党と世界でも例が無い国。多民族国家でネパール語を共通語に多くの人がヒンズー教を信仰(カースト制は有る)。王様は世界の元首中でも屈指の金持ちだが国は世界の貧困ワースト5の1つ。よって国家予算の半分近くは海外援助資金で賄われいる。日本は最大の援助国でODN、NGO活動も活発です。

ネパールと言えばヒマラヤのイメージで寒い国と多くの人が思っているがそれは、3000メートルの山中で有り緯度経度から考えれば奄美大島と同じ。つまり暖かい国なのです。

首都カトマンズは12月〜3月中旬以外、日中、半袖で良いしポカラに至っては私が滞在した12月中旬も太陽が出れば半袖で良かった。

観光とトレッキングの外貨ウェートが高く中心産業と言っても過言では無い。シーズンになれば世界中から旅行者、トレッカー、登山者が集結して賑やかになります。その為、外国人商売の人は英語喋れるし看板からメニューまでネパール語と英語書きが有る。

ただ初めに書いたが、見た目では解ら無いが緊迫した政治経済状況が続いており今後どう展開して行くか解らない。外務省発表の海外渡航情報によれば危険地域国家の1つであり何時ゼネスト等が、再発するか解りません。

今後行く予定の方は慎重に慎重に最悪の事を想定して計画して行ってください。そんな事は無いと思う人がほとんどですが、はっきり言いますが平和ではありません。(私も体験するまで、治安が悪いと思いませんでした。)この事を頭の片隅において行動して下さい。

ネパールの物価

 前年対比インフレ率120%と言われていますが物価高騰しています。現在1ルピー=1円50銭、1$=73ルピー 勿論変動為替制ですが現地の人々は生活がより苦しい状況です。

 現地の人が、1日250ルピー、月給3000ルピー貰えれば良い生活しているのですから外国人は彼らから見れば大金持ちです。しかし私達外国人に取っては安くて美味しい食事、買い物など楽しめます。はっきりいって日本人ならかなり贅沢できます。貨幣価値が違うので貧乏生活から贅沢な生活まで出来ます。食パン1斤30円、紅茶1杯12円ぐらいで買えるしツーリスト向けのレストランで500円も出せばかなり贅沢でき腹一杯になります。ビ‐ルだって大ビン150円ぐらいですから。無論、高級店だと高いし現地の人々が行く店ならば250円も出せば満足できます。特に日本人レストラン以外はボリュームも凄い。毎食こんな食事していたらデブになりますし飲み過ぎになるのでくれぐれも注意して下さい。ただ山行く前ならば栄養補給でいいかも。

 生活用品も日本で購入するより安い。ただ全部がインド製、偶に中国製があるぐらいで輸入品ばかり。物によっては日本製と代わらないものも有ります。例えば富士フイルム製リバーサルフイルムなど。

必要な物殆ど揃います。金さえあれば何とかなりますし、ただ目的がトレッキング、高所登山なので中級クラス以上の生活を進めます。要らぬ所で金をケチリ目的達成出来なければ意味有りませんから。金で解決できる所はドシドシ金を出しましょう。くどい事を言いますが私達は旅行者とは違いますので、その点を間違いない様に。

国内外移動方法

 日本からの飛行機はロイヤルネパール、タイ航空、シンガポール航空等多くの航空会社乗り入れていますが直行便のロイヤルネパール、関空発〜カトマンズ着を進めます。運賃日本発の中で1番高いが往路日本13:00発でネパールに夜の7時に着きます。復路は現地時間23:30発関空着11:40、6月〜9月を除けば水、日発週2便で便利が良い。ただ飛行機は噂に聞いていたが757改良型で定員200人程でスクリーン無し、音楽サービス無し、機内食は選択不可、挙句には他の飛行機会社から同一機種を借りる事も有る。復路がそうであったがシ−ト前後が狭過ぎる。それに料金が1番高値。ちなみに小生はロイヤルネパール1年Fixオープン格安チケット会社エアーリンクトラベル手配で13万1千円。しかしそれを差し引いても9時間で着ける便利さは捨てがたいし第一体が楽です。ネパール初めての場合はこの便を進めます。それに荷物重量も少しオーバーしても可能ですし。尚、殆どのトレッカー、登山者、NGO関係者、日本在住ネパール人が利用して満席状況が続いています。2001年から週3便に変るらしいが人気が有るので早めに申し込みしましょう。値崩れは殆ど無くヨーロッパ便格安運賃より高価です。

 ネパール国内は飛行機もありますがバスが1番発達しています。

 アンナプルナ地域ポカラ経由で行くならばカトマンズ〜ポカラ間、ツーリストバス(外国人専用バスで大型とミニツーリストバスが有る)、グリーンバスが有りますが日本のバスのイメージをしてはいけません。ボロボロですし私がポカラより乗車したバスは追い越しが大好きな運転手。坂道ではいきなり冷却水を補給する始末—————驚きました。

 グリーンバスはシートも良く快適らしいがツーリストバスは営業している旅行会社によりかなり差があります。外国人専用バスなのにネパール人が同乗していますし?でもやはりボロイ。ローカルバスに至っては荷物持ちのネパール人も多く屋根に人が乗り、やたら停車してとにかく腰にも来るし疲れます。カトマンズ〜ポカラ間運行していますがお勧めできません。

 アンナプルナ地域も1周トレッキング起点地ベシサールはロカールバスしか走っていませんのでジープをチャ−タすることを勧めます。 最もこれらの事は現地のトレッキング会社に頼めば段取りしてくれるので心配無いでしょう。

 飛行機はクーブン地域(エヴェレスト)ルクラに行くのであれば必ず乗るでしょうしカンチェンジュンガ地域等遠距離は必要です。それ以外のルートは外国人や金持ちのネパール人が利用しています。でも時間が無い人やいらぬ労力を使いたくない人は積極的に利用するべきです。ただし飛行機も日本的感覚で考えてはいけません。飛行機は双発プロペラ25人乗、スチュワーデス同乗しており菓子、ジュースは出ますよがセスナを大きくした感じで今にも墜落しそうな感じがするし実際墜落したら助からないでしょう。そんな飛行機ですが山岳展望良く、アンナプルナ地域に行くならば片道はお勧めします。
カトマンズ〜ルクラまで40分程、運賃はUS$95
カトマンズ〜ポカラまで40分、運賃US$75

宿泊について

 地球の歩き方等ガイドブックによればカトマンズで安宿1泊素泊まり約200円は事実です。ただこれは共同トイレ、シャワーの世界です。1発勝負的要素が大きい山において食住はウエートが大きくクライマーならば1泊50ドルクラスの3星クラスを勧めます。このクラスは日本のホテルと同様バスタブ、冷暖房完備でセキュリティもしっかりしており快適さ保証できます。ただ中にはお湯がぬるいなど問題ホテルもあるようですが、そこはネパールと思って下さい。何事も日本的感覚で判断しない様に。日本でもビジネスホテルなら7千円はするでしょう。ネパールに来てケチる事は無いと思います。

 ちなみに私は、ダルバールマルグ横の1泊12ドルのシャワー付シングルでしたが11月末のカトマンズは朝晩寒いし風呂にも浸かりたかった。お湯も微調整効かないし値段を考えればこんな物かと納得しました。植林NGO終了後は3星クラスでしたので快適さは述べるまでも有りません。 それと何回も述べていますが慎重に慎重に最悪の事を想定して計画して下さい。暴動が起こればホテルから出られません。そうなれば高級ホテルかダルバールマルグ周辺のホテルがベストです。この事を頭の片隅において選択して下さい。ポカラでも同様3星クラスを勧めます。

現地旅行会社及びトレッキングエージェントについて

 今回登りましたトレッキングピーク(ライトエクスペジション)を登る場合はネパール登山規則では現地エクスペジション会社に手配をしなくては登れません。無論、高所登山(エクスペジション)も同様です。又、これらの会社の多くはネパールの旅行会社も兼任しています。日本の山岳専門旅行社は現地エクスペジシン会社の仲介しているに過ぎません。ダイレクトに手配する事で価格も日本の山岳専門旅行社より安く上げ要望も言える現地会社に手配を任せました。今回は元会員の原田、久住、の紹介で以下の会社に頼みました。

 会社名はロールワリングトレック&エクスペジション、シーガルトラベル&ツアーズこの二つの会社の社長はラム氏。流暢な日本語を喋ります。日本に留学経験が有り毎年日本に来ており私達と同じぐらい日本の事を熟知しています。アルパインツアーサービス、アトラストレク等山岳専門旅行社、著名なプロガイドを顧客に持ち最近では野口健も顧客とか。ラム氏曰く「ネパール中でも当社は金額的に高い。しかしサービス面、では自身を持っている。」

 確かにその言葉どうり満足しました。ストレス無く楽しく過ごせるのも良いエージェントを手配できるかどうかだと思います。過去利用した原田、久住氏が満足したのも頷けます。ここのガイドはシエルパしか採用していません。エージェントによっては、いいかげんな所も見たし金額的に安くても逆に高くてもどれだけこちらの要望に対応してくれるか、そして満足させて貰えるか。私はこの会社を信頼できたし今後行く人があれば、このエージェントを紹介します。

 問い合わせ方法はメールが1番確実です。その後、1度はラム社長と電話で話しをしましょう。尚メールは日本語でOKですが難しい表現、漢字は駄目ですよ。ラム社長なら理解できても社員10人がそこまで日本語理解できません。尚、全員英語は大丈夫です。

注意点は初めて送る時に
「最近の山岳経験」を必ず明記して下さい。ラム社長曰く「面識も無いのにいきなり問い合わせ来るケース近年多く、その度に解答に困っている。値段提示は無論するが人命がかかる仕事をしているので当社も有る程度、御客様の事を知りたい。」と、そうでしょう。

 ちなみに私は1ヶ月前に計画書を送り契約してから単価出してもらいました。久住氏から聞きおよその単価解っていたので事前に見積り取りませんでした。初めからここに御願いするつもりでしたので。でもはやく問合わせし契約した方が有利です。遅くなる程優秀なシェルパが確保でき無くなります。モンスーン、プレモンスーン明け2ヶ月前がベストです。ただこれはあくまでロブチェクラスのトレッキングピーク、トレッキングまでの進め方なので勘違い無いように御願いします。

現地旅行会社及びトレッキングエージェント連絡先
RolwalingTrek&Expedition(P.)Ltd
(President Ram Gartaula)
住所)PostBox No,3870,Kathmandu,Nepal
TEL)001−977−1−226757,244789,245878(日本から)
FAX)001−977−1−228823,525919(日本から)
E−mail:seagull@rolwalin.mos.com.np

トレッキングピークのキャラバン及びトレッキングについて

 トレッキングピークはトレッキングルートからベースキャンプまでは比較的短距離(山域にもよる)で行け山が多く呼び名のとおりトレッキングの延長で登れる五千メートル〜六千メートル峰です。無論、岩と雪の世界ですよ。感じとしてはヨーロッパアルプスの山を想像して下さい。その山を目指して未舗装の生活道路を歩きます。それが、トレッキングルートなのです。現地の人は毎日ヒマラヤを背景に生活しているのです。途中、色々な出会い光景が有り、それだけでも日々楽しく感動します。 

 今回、ロブチェイーストキャラバンはキャンピングタイプで契約しました。サーダ(シェルパ頭、チームの責任者)1、コック1、キッチンボーイ1、ポーター5人とチームを組みベースキャンプまで往復の食事の世話、(ハイキャンプ以上荷揚げ以外は食料、テント自前)テント設営、(ベースまでシュラフ、個人用大型マットレス込み)荷物運び等こちらの要望に対応してくれました。これらは、セット価格で1日、米$75 X 参加数。 私達は人数も少なく(2人)割高な反面家族的キャラバンでした。尚、4人以上だとかなり割安になるとか。

 その他、入山料金、彼らの保険、今回は登頂を目標に高所シエルパ1人(サーダが兼任)を雇い別紙請求額になりました。確かに高額ですがキャラバン中の全ての事に対応してくれるのですから私は安いと思います。それに日本の有名な山岳専門旅行社手配だと航空料金込み、25日間アイランドピークで約65万掛かります。日本から添乗員付で高級ホテル宿泊でも中間マージン入ればこれだけ割高になってしまいます。お金で解決出来る所はした方が良いと私は思います。

又、ハイキャンプ以上のテント等も別途料金支払えばリ-ス可能です。

トレッキングのみでも上記セット価格が基本です。

ハウストレッキング方式(ロッジ宿泊)トレッキングピーク

 前出のキャンピング方式は至れり尽せりの旅です。もっと安く上げたければ、この方式を勧めます。クライミングシエルパを雇わずベースキャンプ以上は自分でやります。1人当り、トレキングガイド1日米$15、ポーター1日(1人)米$4、それに本人とガイドのロッジ宿泊料プラス食費、の合計、1日米$30と入山料金等プラスアルファみておけばいいでしょう。経費が半額近くで済む半面、初めての方には余りお勧めできません。高所なれしている人ならともかく食事等合わないことも出てくる可能性も有りますし———。

初めてならのんびり出きるキヤンピング式の方が絶対良いと思います。2回目以降であれば要領も解り良い方式だと思います。

 でもクライマーならどんなキャラバン方式であれベースキャンプ以上はガイド雇わず自分達で行い登頂できれば達成感も違うと思います。

 6000m峰とはどんな山か体験したい人にとってトレッキングピークは手頃です。比較的簡単な山から困難な山まで多数有りますし、高所未経験の人にはお勧めします。

シエルパガイドについて

 シエルパと言えばネパールで登山ガイド関係の仕事をしている人の呼称と思われている節も有るが本来高地民族であるシエルパ族の名称で彼らの仕事の1つにしか過ぎません。彼らは2000m〜4000m地点で生まれ育ち厳しい自然環境の中で生活しており独自の文化を持つ民族です。ヤク(高所の牛)飼い等交易商に従事している人も多くその為、外人に対しての語学対応能力も高く数カ国語会話可能な人も多い。幼少より登山関係の仕事に従事したり交易の手伝いするなど生活の中で外国人に対して適応も出来又、生まれながらの高所順応脳力が磨かれていく事を痛感しました。今回のクライミングシエルパ兼サーダ−のペンバ、ギャルジェンシエルパも4000mで生まれ、6歳でヤク飼いでエベレストBCに行ったとか。28歳の彼はエベレスト、カンチェンジュンガのピークを踏み今、売出し中の1人とか。彼を含めたクライミング出来るシエルパがサーダ−のケースが多いが技術以上に統率能力、交渉能力、語学能力に優れておりトレッキング時でも彼らクラスにガイドしてもらうと何事ももスムーズでストレスが貯まらないと思います。私の場合、ロブチェイーストクライミング後ゴーキョピークに2人ロッジ泊で行きましたがここでも彼のサーダ−能力見せてもらいました。反面、サーダ未経験のコック兼トレッキングガイドは見た感じも人が良くオトナシイ人が多い印象を受けました。現にアンナプルナトレッキング同行シエルパの性格はとても良いのですが交渉能力等サーダークラスと比較すると能力に限界を感じかなりストレスになりました。よく遠征等で登頂失敗の原因にシエルパの能力を問う話しを聞いた事が有りますが(飯が不味かった、BCまでの対応の不味等)この辺が原因かもしれません。その為にもしっかりしたシエルパが集められるトレッキングエージェントと契約を勧めます。

ちなみにロールワリングトレック&エクスペジションのガイドは全員シエルパ族です。

NGO(植林(植樹)ボランティア)について

 今回参加した「カトマンドゥ」は元会員安倍泰夫氏が設立した植林ボランティア団体で本年10周年を迎えました。場所はネパール、トリスリーより北約10km地点のベトラ-ティ地域で植林(植樹)活動に現地の人々と協力しながら今日まで継続しています。1995年までは二木氏、元会員宮坂一登氏が参加され川から水を引くことから始め、今の森林の基礎を築いた事は事実ですし聞く以上に大変な苦労をした事が参加して改めて解りました。詳しい事は攀友20周年号並びに、写真集「牛乳パックでヒマラヤに森ができた」に搭載されていますので興味有る方は読んで見てください。

 私が参加した理由は山梨在住中海外植林(植樹)活動に参加している人の話を聞いたり日山協海外登山八王子セミナーでパキスタンにおいてこれらの活動をしている話しを聞き植林(植樹)活動興味が有った事です。今回ネパール渡航で資料集めをしていたらこの国がアジアの中で森林の減少が著しい国で、それがヒマラヤの麓から平野地帯まで及び深刻な問題に直面している事を知り私でも何か役に立てる事はないか思考しCMCにとっても縁が有りました「カトマンドゥ」参加をを決めた次第です。直接クライミング活動に関係ないと思えるかも知れませんが平和と安定した社会の上にクライミングが可能であり将来ネパールが今以上環境破壊され経済が破綻した時、遠征したくても受け入れる側が駄目で不可能になる可能性も有ります。その為にも色々な形で支援する事が大切だし現地に参加せずとも今後も活動は継続可能な事も出来るので私はクライミング活動と平行して継続して行こうと思っています。会員及び近くに興味有る方が居られましたら集会に参加を勧めます。

以上長々と書きましたが私にとっては楽しくも有り勉強させられたネパールでした。